大切にしたい、人材採用における選考過程

ホール店長のためのわかりやすいコンプライアンス 第5回

大切にしたい、人材採用における選考過程

首都圏における人材難のしわ寄せが地方にも影響

顧客先へ訪問すると、「誰か人(ひと)いませんか?(笑)」と挨拶代わりに言われることがここ数年、当たり前になってきました。一方、私が返す挨拶は決まって「なかなか厳しいですよね…」。

私が仕事で行く機会が多い北海道では、今年の高卒新規採用の有効求人倍率が過去最高の1.55倍です。つまり、100名の求職者に対して155社が求人を出していることになります。けっこうな売り手市場です。ハローワークに訊ねたところ、やはり道外企業の求人が非常に増えているとのことでした。首都圏における人材難のしわ寄せが地方へますます影響していることを実感します。

今回は、人手不足の今だからこそ、人材を採用する際の採用選考の過程がいかに大切かということをお話しします。例を挙げてみましょう。店舗のパートアルバイトの募集広告を出し続けて、ようやく1名の応募があった時、やっと応募がきた~!と、喉から手が出るくらいに嬉しく思うことがよくあります。ところが、面接当日、店長の都合が悪くなり、面接を部下に任せて外出してしまうこともよくありますね。

任された部下は、面接が始まると、ともかくもこの獲物を逃してなるものかと、半ば前のめりになりながら「週何日出られますか?」「土日はどうですか?」「遅番はできますか?」と、勤務の条件面を野次早やに応募者に確認していきます。さて、この応募者も嬉しいことにこちらの要求に合わせるように「フルで働きたい」「土日はOK」「遅番で働きたい」と素晴らしい条件を伝えてきます。

こうなると部下はテンションマックスです!(見た目もそんなに悪くない…。接客の経験もあるし…。転職回数が多いのが気になるけど、ま、アルバイトだし…。)などなど、目まぐるしく頭の中で考えます。部下は、現場に興味を持ってもらうため「うちはけっこうシフト入れるよ」「スタッフ同志も仲良しだし雰囲気いいよ」と、多少大げさに話をしたりします。

相手との距離を縮めるために、いわゆる「タメ口」を織り交ぜたりします。いつしか面接という名の「雑談」は大盛り上がりです。「店長、今日の子採用でお願いします♪」と、こんな採用の過程はよくある話です。私は、このような採用の仕方が失敗すると言いたいのではありません。うまくいく場合もあるでしょう。しかし、油断してはいけません。次のようなケースがここ数年あちこちで発生しています。

採用した新人が15日目を過ぎると勤務態度が一変?

大歓迎で採用したこの新人、入社してから2週間はとても元気に挨拶をして、意欲もあり、積極的に仲間と話し、仕事を覚えようとする姿勢も見せていました。ところが、15日目を過ぎると急に勤務態度が一変します。遅刻はするし、勤務中もあくびばかりでやる気もありません。本人があからさまにだらしなさを見せつけ始めるのです。店長は「そろそろ疲れが出てきているのかな?」と見守りますが、だんだんだらしなさが目に余るようになります。それが1週間も続くと、さすがの店長もイライラが募ってきます。そして店長は、ついこう言ってしまいます。

「やる気がないならもう来なくていいよ!」

すると、新人がその言葉を待っていたかのように、

「店長 わかりました。では30日分の解雇予告手当を払ってください」

そう、実は新人は最初からコンプライアンスを逆手に取り、解雇予告手当を請求するためだけに面接を受けに来ていたのです。企業の人手不足をいいことに、このようなことを繰り返している輩がいるのです。また、雇用保険の失業手当をすぐ貰うために、このような猿芝居を企てるケースも多くあるのです。

このような事例は、実際に支払わざるを得ないケースも多く、企業にとってムダな労力以外の何ものでもありません。やはり、入り口(面接)をおろそかにしないことが大切です。例えば、新卒採用の場合に、実家に住んでいるのに、履歴書に家の電話番号が書いてないケースは、なぜ書いていないのかを確認することも必要かもしれません。家に電話が無いのかもしれませんが、電話があるのに書いていないこともあるでしょう。

以前私は、敢えて、本人の自宅に採用の連絡をいれたことがありました。本人と家族とのコミュニケーションの状況を知りたかったからです。家族に大事な面接に行くことを伝えているのかいないのかを確認したかったのです。ご家族が電話に出られてこちらから社名を名乗ったときの対応の仕方で概ね本人と家族との関係性が分かります。

また、中途採用やアルバイト採用の場合、前職を退職した理由についても、なるべく具体的に、かつ掘り下げて聞いていくことが必要です。会社を辞める人の大半は人間関係が理由です。そこで、一歩踏み込んで、その理由を具体的に聞くことによって、応募者の人物像や価値観を感じることができます。

手厚い採用過程を踏み、信頼できる人材を見極めて獲得する

我々の業界は、世間で不人気業種と言われています。採用も苦戦している企業が多く見受けられます。若者には偏った一部のイメージしか持たれておらず、そもそもパチンコ店に入ったことがないという人が増えてきています。その中で、我々が採用選考で心がけなければいけないことは、「面接」という、企業が一方的に応募者の選定をすることだけではなく、ときには「面談」というかたちで、企業と応募者が対等な立場で、お互いの理解を深めながら相性を確認することです。

企業が「面談」を通じて、誠意を持って相手を知ろうとすることで、相手の誠意を引き出すこともあるのです。そうです。「面談」をすることで、初めて面会する応募者と信頼関係の一歩を築くのです。「面接」の前後に近くの喫茶店などで「面談」をしてもよいかもしれません。また、例えば、採用担当者を2名にして、選考過程を段階的に分けて、「面接」と「面談」の役割分担をするのも効果的かもしれません。

このような重層的かつ多角的な接し方が、先ほどのコンプライアンスを逆手に取った輩の猿芝居を寄せ付けないことにも繋がるのではないでしょうか。「面談」を通じ、企業が仕事の楽しさや誇りを伝え、応募者には仕事に対する理解と共感、そして業界や企業への信頼を深めてもらえるような手厚い採用過程を踏むことが、信頼できる人材を見極め、獲得するのに繋がるはずです。採用の成立は、人材獲得のゴールではなく、人材育成のためのスタート地点なのですからね。

 

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カテゴリー: その他,人材採用

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