保通協の試験規定と『役物比率』、『おおむね垂直』

業界のご意見番・小森勇の一喝 第18回

保通協の試験規定と『役物比率』、『おおむね垂直』

この1週間も目まぐるしかったですね。11日の日遊協総会における警察庁の大門課長補佐の代読された行政講話に、業界は激震が走りました。パチンコ機の盤面の釘は、保通協の型式試験に合格したとおりの状態で営業の用に供さなければならない。そしてその合格時の釘の状態についてはホールに機械が納品される時に付いてくる『取扱説明書』に、盤面に対する角度や、釘と釘の間隔が記載されている通りです。いわゆる「取説くぎ」です。パチンコ機を購入したホールは、この取説くぎの状態を保持して営業しなければならない、という事です。要はホールで釘を触らなければ何も問題が起こらないハズです。ところが…。

◎ 「メーカー工場からの納品時の釘が取説くぎと相当異なるとしたら?!」

知り合いの複数のホール企業さんに聞いてみたところ、納品時の釘の状態は、取説くぎ記載の状態とはかなり異なるらしいのです! えっ、そんなバカな! と普通は思います。先日のポッカ吉田さんのお話を聞いて改めて“なるほどナ”と思いました。もしそうだとすれば、どうしてこんな“乖離現象”が起こるのでしょうか? そこで辿り着くのが「役物比率」という言葉と、「おおむね垂直」という2つのキーワードです。

過去のどういった経緯かは詳らかではありませんが、保通協の型式試験の際の重要な検査項目に「役物比率」というものがあって、遊技者が獲得するセーフ玉総数のうち役物から得られるセーフ玉数の比率は60%以下にしなければ、試験を通らないというのが有るそうです。逆に言うと一般入賞口(※いわゆるポケットとかフロックと呼ばれている、役物以外の穴)に入って得られる獲得玉数が40%以上なければならない! という規定です。えっ! そんなんじゃ営業できない! と、今どきの店長さんはお感じになると思います。出玉率100%のシミュレーションですと、10,000発打ちこんで10,000発セーフで返ってくる場合、そのうち4,000発以上はポケットによる出玉でなければならないという事です。

CR新海物語から全盛となる2003年以降のパチンコ営業の中で、100%近いホールの管理者は、BY値を2~5位に“抑えて”、そのぶん役物(液晶)スタートを5.6~6.0回/分回すのがお客様に最も支持される、と教えられてきた過去13年間の営業はいったい何だったんだ?! という思考停止に陥ってらっしゃると推測します。もうこれは、ポケットをもうちょっと通りやすくしてベースを上げてやる、という次元では到底追いつかないレベルの話しです。

歴史を20年遡ってみましょう。当時のパチンコ機はスタート賞球が7個戻し、一般入賞口の賞球も10~13個戻し、アタッカーの特賞賞球は15個戻しでした。FパワフルⅢ、麻雀物語、春夏秋冬など大手メーカーの代表的な機械を思い出せる方は思い出してください。その時代は18歳以下でパチンコを打てなかった方は、「へえ~、昔はそんなに出玉が多かったんだ!」と溜息ついてください(笑)。ただしこの時代は賞品の“買取個数”が全国的に40玉=100円のところが多かったので、5箱出して25,000円也~でパパもママも大満足していたものです。この時代のスタート回数は多分4.0回も回ればいい方で、それでもお店のコンピュータを覗くとベースが42~45位の数値になっていました。でもちゃ~んと台粗3,000円は確保できていましたね。当時は一般入賞口を“殺す”などという恐ろしい言葉は流行っていなかったと記憶しています。つまり高ベースで営業して、出玉率103%であっても、ホールは利益の出る商取引ができていたという事です。

「役物比率」という言葉も、チューリップや電動役物(電役)といった言葉の有った時代に生まれた言葉だと思います。つまり、電役で“いたずらに”出玉を体感させるのではなく、特賞ゲーム以外の通常ゲームにおいて、常にベース40以上のおかげで上皿に玉持ちが良くて遊べる、そういった「原風景」が基本にあることに思いを馳せなければなりません。

◎ 「メーカーは保通協を通すため上げ9度の“極端な”ゲージをも厭わず、一般入賞口に玉が流れやすくするゲージ構成で試験に出している」?? 

18日に上野で開催された全遊振のセミナーで、ポッカ吉田さんが、上記の可能性について触れておられました。保通協の試験基準について不勉強な小生にしてみれば、まさに全身の筋肉が震えるような問題提起でした。もしこんな事が事実行われているとすれば、大きな問題でしょう。メーカーさんを一概に責めるつもりはアリマセン。しかしこの通りのゲージでホールに納品されているとすれば、銀玉が所々でセル盤にぶつかってしまって、玉の軌道が安定しない筈ですね。でも知り合いの店長さん数人に聞くと、実際に納品されるゲージはこんな風にはなっていないみたいとのこと?! これじゃあ、取説くぎと納品釘が異なっている! として責められるのはホールと言うことになるのでしょうか?

どうもこの辺りの事情を当局も掴んでおられるようでして、今回の大門課長補佐のご講話では、型式試験規則第11条第2項の規程にも触れておられたようです。この2項の適用を嘗て受けたメーカーとして「大東音響」(リズムボーイズ等で有名だった大阪のスロットメーカー)の名前を、ポッカさんは取り上げておられました。いわばメーカーが規則に違反した製品を納品した場合、最大5年間、当該メーカーは型式試験の申請をできなくなるという事ですネ。

ますます事態は混沌としてくる可能性があります。メーカーさんが取説くぎ通りの状態で納品されていらっしゃるとした場合、そのゲージ状態をホールがいじったとすれば、当該ホールは当然営業停止処分。そのホールを経営する企業も風適法違反で起訴された場合、最悪その企業の傘下ホールは全店「営業取消処分」と成ってしまうおそれがあります!

では「上げ9度」、一般入賞口のピッチ「12.5mm」、「ヘソ入賞口11.2mm」などのゲージでホールが営業した場合、当然ベースは40ぐらいの数字で、スタート回数は4.0回/分の数値になると予想されますが、果たして全国のホールの数値はどうなっていますかネ?

◎ 日工組による当局への陳情で「役物比率」を80%位に引き上げるような改正はできないものか?

上記に述べたような“懸念”が起きてくる原因の一つは、例の「役物比率」だと思います。小生の記憶では20年程前は、現金セブン機がベース42~45で十分遊べていました。仕事帰りの夜8時からでも十分賞品を持ち帰れる期待感を裏切りませんでした。上皿の玉が減るスピードが遅いので、夜8時からでも“勝率30%”位の期待感を持って遊べたものです。それでいてホールは1日の台粗が3,000円位は稼げていました。当時の余暇開発センターの統計で遊技人口が1,700万人は居た”大衆娯楽”の古き良き時代です。

この時代は役物比率60%を超えなくても全く問題は無かったわけです。中時間遊んでも特賞遊技以外でもハラハラしながらもチマチマ遊べたからです。但し、この時代のスタート回数は1分間にせいぜい4.0回位だったような気がします。スタート回数にこだわるよりは、1時間とか2時間とか遊べる事の方に価値観が有ったからです。ところがCR機ができ2005年頃には特賞確率が1/499にまで成って、特賞による獲得出玉がメインとなってきてからは、この「役物比率」という保通協試験項目が“邪魔な”存在となってきたのでしょう。しかし、「遊べ」「射幸心を抑える」という大義名分がある以上、この「役物比率を上げる」という選択を、日工組も立場上できなかったのだろうと想像されます。

ですから、今回の日工組の特賞確率下限値を1/320未満に抑えるという選択は正しいと思いますが、同時に変にイビツなゲージ構成にならないためにも、「役物比率」上限を60%から、80%位にして、無理なくスタート回数を回してあげられ、営業に使える機械の開発に邁進すべきではないでしょうか?

「ホンネ」と「タテマエ」が大きく乖離している、今日のぱちんこ遊技機の開発の現状を、社会性を十分にもって、社会に認知されていくためにも、是非ともイビツなゲージ構成にならならず、タテマエとホンネの乖離が大きく改善されることを願って止みません。

カテゴリー: その他,パチンコ

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