「夜明け前」

業界のご意見番・小森勇の一喝 第28回

「夜明け前」

ホール経営者のマインドを疑心暗鬼に冷え込ませる撤去リストの流出

「夜明け前」というと、2つのフレーズが思い出されます。一つは70年安保の時に岡林信康が作詞して唄った『友よ』の<友よ、夜明け前の闇の中で、友よ、戦いの炎を燃やせ>です。もう一つは、1932年に文豪・島崎藤村が、現在の岐阜県中津川市馬籠宿を舞台に、明治維新前後の社会変革を描いた、そのものズバリの小説の題名「夜明け前」です。

わがパチンコ業界が、遅くともこの12月1日から迎えようとする“事態”を前に、識者は不思議と静まり返っています。既に起こったことを論評するのは得意中の得意ですが、これから起こる状況は全くと言ってよいほど予断の許さない、“恐ろしい”静まりの中にあるからです。半面「■AT・ART機 出玉情報2万枚以上機種設置台数一覧」表なるものが、8月下旬にいずくともなく流れてきました。

恐らく、回胴式遊技機製造業者連絡会あたりで回覧された資料がネットで拡散したものです。こうなると、そのリストに掲載された58機種がほぼ完全に撤去対象となる! という議論が独り歩きします。しかし、仮にそうなる可能性があるとして、いつまでに、どういった優先順位で撤去になるのか? なに一つ正確に分からないまま、徒にホール経営者のマインドを疑心暗鬼で冷え込ませるだけです。右往左往する現象の一例です。

いったい、今は「夜明け前」なのか?「暗闇の前」なのか? ここで1ケ月ぶりに、「一喝」の原稿を書いてみようという心情に傾きました。

「一喝」における考え方の筋は明確

❶ ここで自分の、この最前線への論考を振り返ってみました。

・6/25掲出 一喝(19)「6月23日の警察庁の2本の通達の衝撃度」
・7/09掲出 一喝(20)「焦点は『釘』問題から、『三店方式』へ!」
・7/20掲出 一喝(21)「『甘デジ・ソムリエ』の時代」
・7/30掲出 一喝(22)「『釘』の天王山=賞品流通、中古機流通」
・8/24掲出 一喝(23)「業界の新規出店は今後も大幅減速なのか?」
・8/27掲出 一喝(24)「夢コーポレーション㈱が、㈱ダイナムJ.H.の完全子会社に」
・8/31掲出 一喝(25)「『内製化』を勘違いしてはいけない」
・9/07掲出 一喝(26)「『業界等価』を懐かしがってはならない」
・9/14掲出 一喝(27)「殆どの業界人の忘れていること ―5回リミッター規制―」

以上です。

私の考え方の筋は明確です。

ⅰ)「換金合法化」などと言うことは、今後も基本的に不可能なので、あたかも議員立法によって可能性があるかのごとき議論には全く関心がない。

ⅱ)そうであればこの65年余り続いてきたパチンコ営業を今後も存続したいと考えるなら、「三店方式」をより正しく堅持し、ニセの擬似三店方式ともいえる「二店方式」は速やかに健全化しなくてはこの業界の存続がおぼつかなくなる。

ⅲ)「三店方式」といえども実は文句のつけられない堅固な理論ではないことを認めよう。

というのは、賞品流通にかかる経費(お客からの買取に要する経費、賞品回収経費etc.)がかさんでくると、三店間を賞品が流通する理論構築が難しくなってくるからです。ここには多少の「曖昧さ」を残さざるを得ないことを認めましょう。これを私は「玉虫色の日本的決着」と名付けたいと思います(※グレーではありませんよ!玉虫色です)

ⅳ)「業界等価」という現象が、たしか早くも1995年頃より、愛媛県で、そして東京でも97年頃より、そして全国に蔓延していった過去の“負の歴史”にはやく決着をつけて“本来の”三店方式に一刻も早く戻すべきである。

(※この度、都遊協指導部の勇気ある決断によって東京都が約18年ぶりくらいに違法な「業界等価」から脱却されたことは高く評価されるべきであろう)

ⅴ)「業界等価」というニセの三店方式を維持せんがために、特に「ぱちんこ遊技機」の釘に集中的なしわ寄せが行ってしまったことを、今回警察庁から厳重に指摘を受けてしまったことを厳粛に受け止めるだけではなく、二度と過去の過ちに戻らせないようにしっかりとした方策を構築していく義務が、我々にはある。

(※スロットについては、たとえお客に一番厳しい設定①をお店が使ったとしても、それなりに遊べたので、パチンコのように釘曲げという大問題とはならなかった。但し、サブ基板による、ペナルティ機能によってコイン放出が遅らされるという、別の問題がスロットには残った)

ⅵ)ぱちんこメーカーも「業界等価」の風潮に迎合するかのごとく、スタート賞球を5個→ 4個 → 3個というように減らすことによって、結果的に「玉単価」が異常に上昇してしまい、今問題のMAX機に至っては、1.8~1.9円という、一昔前には考えられなかったような「高単価機」ばかりが売れるようになってしまった。

(※これは、メーカーのみの責任と言うよりは、買う側の「業界等価」推進派のホールの責任も大きい)

ⅶ)単にスタート賞球数の問題ではなく、メーカーが保通協に持ち込んで試験を通した状態の釘と、実際にホールに「納品される釘」の状態とが、“全然、別物!”ということが青天白日のもとに明らかになってしまった。その際、「試験合格釘」と「取扱説明書記載の釘」とはまた違うのだ! という意味不明な議論まで出てきた。釘状態に3種類ある!?? いったいホールは、機械納品時にどの種類の釘であることを確認すれば良いのか??

ⅷ)来週納品されてくる、本年最後の話題機である「牙狼 魔戒ノ花」は、いったい試験合格時の釘で納品されるのか?それとも、“営業に使える”釘で納品されてくるのか?不思議な疑問がのこります。

「夜明け前」をチャンスと捉えるべきではないだろうか!?

❷ こうした諸々積み重なった業界の“魔法陣”が、この12月から順次(一気に?)解けようとしています。「夜明け前」と感じるのは私だけでしょうか? しかし島崎藤村が描いた主人公=青山半蔵は、やがて明治維新後の中央政府の政策に失望を与儀なくされていきます。明治政府は部落民たちの山の入会権を認めず、あまつさえ国有林として薪木の伐採すら禁じられてしまいます。

かたや、我が業界は警察庁および、勇気ある業界指導者の方々の努力のおかげで、青山半蔵のような悲哀を味わうことなく、真に「遊べる」遊技機の開発と運用の方に歩み出そうとしていると思います。BYカットができなくなり必然的にベースUPするわけですが、「こんなんじゃ粗利がとりにくい」とか「お客が追いかけなくなる!」とかの理屈は言わないよう、先進的なお店は逆にチャンス到来とばかり、どう稼働を延ばして粗利を確保するか? 今から研究しましょう。あわよくばチャンスを見て、また「業界等価」にもどしてやろう、などと不埒なことは考えないようにしましょう。

先日も大阪府警による相当な数の店舗への立ち入り検査と、釘のチェックが有ったようです。大阪府は全国に先駆けて4年前に業界等価を捨て去った先人としての自負が有ります。警察庁の指導方針は、6月23日の2本の通達からいささかも揺らいでいません。大阪府警は、この通達の趣旨を徹底するためにも、全国の先駆けとなる意気込みと思われます。

夜明け前がくるように、必死のパッチで努力工夫してお客様の気持ちを掴み直しましょう。

 

カテゴリー: その他,パチンコ,業界動向

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