ATスロットの規制強化? に思う

業界のご意見番・小森勇の一喝 第29回

ATスロットの規制強化? に思う

「4号機」撤去指示の意味は…?

先週15日付の日電協、日工組の連名の通達が、スロット販社の全国団体である回胴遊商あてに流れてきて、全国に拡散しました。いよいよスロットも出玉性能の具体的規制が始まるのかと、識者を騒がせていると思います。ここで一喝。なにか重箱の隅をつつくような議論はいい加減やめようではないか? もっと本質的な見地からこれからのスロットを、お客様はどう受け止めるのか? 深く考察しないと、マクロな店舗戦略を大いに誤らせてしまうと考え、筆を執りました、いやキーボードを叩きました(笑)。もしかしたら、この論考は過去の4号機時代を含め『不都合な真実』を、今更ながら掘り起こしてしまうことに成るのかもしれないことを、初めにお断りしておかねばならないかもしれません。

❶ 2006年の「4号機」撤去指示の意味は何であったのか?

もう忘れておられる方が多いと思います。4号機最高の“傑作”と言われた「(初代)ミリオンGOD」「吉宗」「番長」「秘宝伝」「(初代)北斗の拳」「俺の空」等の撤去が、2007年2月~9月にかけて、全国のホールから順次、全撤去されたことを、今の若手店長殿は殆どご存じないと思います。

“時効”みたいなものですから書かせて頂きますが、関東で(初代)GODを50台以上導入されていたお店で、ほぼ毎日50,000枚以上の台が出ていました。また「(初代)吉宗」で20,000枚、番長で17,000枚がラッキー出玉の目安だったと記憶します。(初代)「北斗の拳」の場合は一種のREGULAR BONUSが一日最大で約200回ほどかかりましたが、MYは14,000枚位であったと記憶しています。

こうした機械はBIG BONUSや、REGULAR BONUSの「ストック機」で、本来ではフラグが立って吐き出すべきボーナス出玉を蓄積させて、“天井”に到達したら、“トリガー”が引かれて一気に放出するという『単純な』テクニックでした。でもその単純なストックテクニックに絶大なファンが群がり、全国で200万台以上のスロットが設置されました(※この台数のことを、今の若い方は案外ご存じないと思いますが)。つまり、現在の5号機のAT、ARTのストックというのとは“モノが違う”機械だったのです。

今の「ペナルティ機能」というのは、ベル小役とかスイカ小役が本来、内部的に成立しているのに押し順ナビが間違ったとか、何らかのペナルティによって小役の“ダラダラ放出”を抑え、AT中に“純増枚数”が2.8~3.3枚位に見えるように演出するテクニックにすぎません。これが1.99枚以下に抑えられるという事です。このことが本当に過去7年くらいのAT、ART市場に“壊滅的な”影響を与えるというのでしょうか?

今回の規制は、それほど大きな規制なのだろうか?

❷ 更に“大昔”には、例えばですが「チャレンジマン」といった「Cタイプ」のマシンがありました。Cタイプというのは、今の擬似ボーナスのようなものも無く、単純に小役の集中がおこり、場合によっては一日中集中役が止まらなかった、という話しを先輩から聞いたことが有ります。こうした昔のCタイプが良かった! と懐古的に礼賛しているわけではありませんが、今のAT、ART機は、こんな昔の機械みたいに“集中”が続くわけではありません。

さすれば我々が今議論しているAT機の規制なるものは、正直言って、それほど大きな規制と言えるのでしょうか?

要は、5号機時代に成って、それまで当たり前に15,000~17,000枚稼働あった4号機時代のスロットが、2008年~2010年にかけては当たり前に10,000枚稼働を切るような体たらくであったものを、試験規則の文言の「解釈」の仕方によって、MY20,000枚近く放出できる機械に仕上げてきたということでしょう。この涙ぐましいメーカーの企業努力には、正直言って頭を下げざるを得ません。

しかし、コトここに至って、かかるペナルティ機能は「やはりイカン!」と断じられたというわけです。

➌ ここで5号機の“暗闇”の状況から、一抹の明かりを見せた機械のことを思い出してみます。

「エウレカセブン」と「(初代)鬼武者」です。2007年9月末に4号機最後の「俺の空」が撤去される前から市場に出ていた5号機は、設置1ケ月後には、ことごとく6,000枚稼働という“惨敗状況”だったと記憶しています。しかし2年経過した2009年9月に発売された「エウレカセブン」と、2010年3月に発売された「新鬼武者」あたりから、5号機へのお客の反応が違ってきました。設置後6ケ月経過しても10,000枚を切らない、という状況が生まれてきました! 当時のことをよく知る知人に改めて尋ねてみると、「エウレカセブン」も「新鬼武者」も、ARTの純増枚数が2.0枚以下だったようです。

今から見れば、実にショボい純増枚数ではないですか! これを5~6年後の「今」から分析すると、<なーんだ、そうだったな>という記念碑的な目でしか見られないかと思いますが、実はここにこれからの“苦境”を解決してくれるヒントが隠されていると思われます。

適合試験にあたってのビット数が小容量でなければならない現実

➍ そもそもA+ART機、ないしAT機というものは、「Aタイプ」の単純なBIG、REGULARというゲーム性に飽き足りない“ゲーム”好きの客層の為のマシンの筈です。そういう意味では自分もAT機、ART機は必要欠くべからざるマシンだと思います。ただ、こういったマシンのミソは単純なボーナスの連チャンとは違う、一味違った連チャンを味わえることで脳髄が刺激されるという事でしょう。そのために『連チャンの塊り』を創出していく必要が出てきます。そうすると、バランス上、コイン単価を徐々に上げて行って、<ミドルリスク→ミドルリターン>、更にもう一歩進むと<ハイリスク→ハイリターン>をチョッピリ味わわせるゲーム性が必要と成ってきます。

その結果、コイン単価が2.5円→2.8円→3.2円→3.5円→4.0円と上がっていったのは、まさに時代のニーズにも合致していた、という事なのでしょう。

ただ一つだけ問題が有りました。どんどん進化し巨大化する液晶画像を本来制御するはずのサブ基盤が、押し順ナビとか、ペナルティ機能というものを発揮して、メイン基板の出玉放出までをコントロールすることが、行き過ぎとされた事です。遡って考えると、この問題は「保通協」における遊技機適合試験の在り方にまで及んでくると考えられます。

ちょっと驚くことかもしれませんが、遊技機としての適合を試験するに当たっては、メイン基板のビット数や容量は小さいものでないといけない! という逆説的真実です。もし、メイン基板が64ビットとか、128ビット級の容量、スピードの高速処理のモノに成ってしまうと、“隠された裏プログラム”のようなものを仮に仕込まれても、検査でこれを見つけることは“至難の技”となるおそれがある! ということを以前先輩たちから聞いたことが有ります。ゲーム機ですら当たり前に128ビットのようなこの時代に、何を今さら! と思われるかもしれませんが、これが試験の現実なのでしょう。

➎ というわけで、この12月から保通協に持ち込まれるスロットマシンは、ARTと言えども、全てメイン基板のみで出玉管理されるもののみ、ということになります。例のペナルティ機能によって、固めてコインを増やすという手法が取れなくなり、どうしても純増は2枚未満ということになりますね。これによって“ピリッと”メリハリの効いたART機でなくなってしまうのか?

今の自分には将来予測を論評する傲慢さは持ち合わせていません。あとは、ユーザーのココロをどう繋ぎ止められるのか? です。チャンスは最大で、来年7月末まで約9ケ月あります。その間、現行AT、ART機で粗利を目いっぱい“ぶっこ抜こう”とするのか? あるいは、要所要所で現行機に「中設定」「高設定」を上手に使って、お客のココロをがっちり掴んでおくのか? 答えは自ずと明快でしょう。

カテゴリー: パチンコ,業界動向

メッセージを残す

メールアドレスが公開されることはございません。