ぱちんこ機回収の始まった今こそ!「ヒトの心を摑む」技(わざ)

業界のご意見番・小森勇の一喝 第38回

ぱちんこ機回収の始まった今こそ!「ヒトの心を摑む」技(わざ)

いよいよ2月10日に日工組から、〈遊技くぎの変更により性能が異なる可能性のある型式遊技機の回収〉という報告が文書で発せられたことにより、ぱちんこは新しい扉が開かれました。扉の向こうにはどんな世界が展開するのか? 誰にも予測が付きません。いや「予測」など半分興味本位でするもんじゃない! のではないか? と思うようになりました。むしろ大事なのは自店の現在客、スリープ客、一旦去ってしまった客に対して、〈どのような営業をしたいのか! どのように共感を勝ち取れるか!〉と言うように問題を設定すべきではないでしょうか。

「各台」データを細かく見ることで、顧客の心は分かるとされてきた幻想

❶ これは取りも直さず「ヒトの心を摑む」という事と同義語だと思います。ここの所の研究がこの20年間一番なされてこなかった、もしくは大いに遅れてた分野だと、最近つくづく考えさせられます。この20年間のパチンコ理論の精華とは、畢竟(ひっきょう/究極、至極、最終などの意)、営業シミュレーションの進化!であると言って過言ではありますまい。新機種が出てくるとき、例えば「客滞率」を145に設定し、やれ確変中のベース(BA)は83まで落とせるとか、スタート外入賞(BY)は2まで行けるとか、確変中のスタート回数(SA)は12.5回になるとか、1,000円スタートに換算するとMAX機は13回であるとか…、こういった数値勉強会セミナーに人気が集中したものです。

ところでその時の「くぎ」はどうなってるの?? それは「言いっこなし(^_-)-☆」でしょう、という具合です。

この営業シミュレーションの最大の落とし穴は何だと思いますか? ハイ、大前提となる「客滞率」なのです(笑)。みんなが何か“気分的に”分かったような分からないような摩訶不思議な「客滞率」という言葉。では「客滞率」はどのようにして出すんですか? と聞かれれば10人中8人までは出来ません(笑)。ハイ、この営業シミュレーションは、このように摩訶不思議な「客滞率」なる用語に立脚して成り立っていたものなのです。でもそこは“まあまあ”にしておいても案外結果としての営業シミュレーションはイイ線をいっていたから、これまた不思議でした。だから大流行りしたのです。

しかし、1年前の小柳課長の講話以降は、〈そのシミュレーションの時の釘や風車はどうなっているの?〉に焦点が当てられてきたものですから、もう堪りません。つまり私たちは20年間、特に2008年にMAX機が登場し、一気に全盛期に成ってきた間、「良きとき」を過ごしてきたのです。少しでも確変(or ST)継続率の高い機械を活かしたい! 少々TYが“削られても”その方がお客は喜ぶはずだ! BYが“削られても”スタートに少しでも還元すればお客は喜ぶはずだ!…、この思想が理論の中心だったと思います。でも本当にそれでお客様は“喜んでくれた”のでしょうか? 小柳講話が突き付けたポイントはまさにここに集約されます。私たちは、大いに勘違いしてきたのかもしれません。

MAX機を強化しないとパチンコ営業は成り立たない! とばかりに市場に大量、多機種のMAX機が投入され、その結果皮肉な事に今やヒットするMAX機はどんどん少なくなり、「玉単価」も1.9円に跳ね上がり、店全体のぱちんこ機でも1.5円に成るという“異常事態”に多くの人が無頓着に成っていました。「どうせ当局は玉単価などという概念をご存じない」という驕りが、もしかしたら有ったかもしれません。

でもご安心ください。当局は今や「玉単価」なる意味もとうにご存知ですし、だいいち我が業界の全国データ数値分析をとっくに為さっておられます(笑)。

❷ 要するにこの20年間私たちは、機械から上がって来る機種別のデータを基に細密にシミュレーションする癖がドップリとついてしまったわけです。そして種別だけでなく、「各台」データを細かく見ることで、〈お客様の心がより分かる〉という幻を追いかけてきたのではないでしょうか?

興味を抱かせる客層分析、『顧客ロイヤリティ3.0』

❸ 最近Hutecのセミナーに参加して、私自身頭のオーバーホールをしています。その中で面白い整理概念に出くわしました。『顧客ロイヤリティと危険利益』という耳慣れない言葉です。『顧客ロイヤリティ3.0』という考え方を少し解説させていただきます。

Ver0   ロイヤリティ無し客    自店との継続的な取引などは特に考えていないお客。(たまたま常連であってもver0客は存在する)

Ver1.0  惰性ロイヤリティ客    抜けるのが面倒なので、留まっている客。(知っているので知らない店より安全ぐらいの感覚)

Ver2.0  お金で動くロイヤリティ客 出玉、入替頻繁、来店ポイントなどの特典が感じるので自店に留まっている常連客。

Ver3.0-1  真のロイヤリティ客    ライバル店からの誘いを断るだけの抗しがたい理由や強い思い入れがある。(※学校の後輩が店長しているとか、昔従業員から優しい慰めの言葉を受けたことが忘れられないとか)

Ver3.0-2  マニア・ロイヤリティ客   顧客は店ブランドと一体化し始め、そのブランドを否定される事は自分の存在価値の否定の様に感じる客。

なかなか面白い客層分析かと思います。この考えのポイントは、客数ではver2.0と3.0の客数全体の約30%を占め、店の粗利の80%を占めていること。しかし、いったん強烈なライバル店が出てきたとき、ver2.0のお客はライバル店に移ってしまって、客数で約15%、粗利では40%位が減ってしまう恐れがあり得る! という事。これを発表したカナダの学者の見解はなかなかイイ所を突いているのではないでしょうか?

業界に相通ずる真田の「ヒトの心を摑む」技

❹ このセミナーを受講して閃いた事が有ります。NHKで日曜日やっている大河ドラマ『真田丸』です。稀代の天才的な長野の上田・佐久地方の国衆に過ぎなかった真田昌幸のことです。わずか2,000人位の兵しか纏められない国衆に過ぎなかった昌幸が、どうして2度にもわたる上田合戦に勝利することが出来たのか? 1回目は1585年に、8,000人の徳川軍による上田城攻めを2,000人で撃退し、徳川軍に1,300人ほどの戦死者を出させたこと。2回目は1600年の関ケ原の決戦に向かう徳川秀忠(後の2代将軍で家康の息子)の38,000人の大軍勢を、上田、小県で足止めにし、その結果秀忠が関ケ原に合流することが出来なくなってしまった、第二回目の上田合戦。更には次男の真田幸村が大阪天王寺の真田丸を拠点に、徳川家康本陣に突撃し、あと少しの所で家康の命を頂戴できるところまで追いつめた合戦も忘れてはなりません。

これを単に〈戦さ上手であった〉と片づけてしまうと何の勉強にもなりません。いったいどうして、このような華々しい胸のすくような戦争ができたのか? どのように自陣の国衆、家来たちの心を摑んで離さず、裏切らせず、信濃の国衆の“大義”=小さいながらも大名に好き勝手させずに生き抜いていく! という旗のもとに、心をまとめ上げられたのか?! に強い関心を持つからです。

これは我がこれからの業界に相通ずるものがありませんか。ロイヤリティに置き換えてみても良いではありませんか。

❺ これから先は、皆さんに考えてもらいたいと思います(笑)。Hutecさんは長年顧客会員情報だけを分析してこられ、「回遊粗利」なる天才的概念を作り上げ、検証された会社です。ココロのマーケティングが喫緊のものとされてきている今日、台情報だけではなくて、会員情報にアプローチする手法を本格的に取り入れる時期に来ていると思います。

カテゴリー: パチンコ,業界動向

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