業界の禁止用語(その2)

業界のご意見番・小森勇の一喝 第42回

業界の禁止用語(その2)

“割”を下げる営業と“割”を上げる営業について

❶「“交換”手数料」(賞品買取りに何%の手数料を店が払うのか?) ➡ ✖

【前回の簡単な要約】
先日は、「出玉率」を常態的に下げて営業することを「✖」であると論じました。その理由は、

ⅰ) 「業界等価」ないし「業界等価に限りなく近い」営業は、「賞品」で利益を出すという発想が殆ど無くて、一般社会の商慣習から大いに離れたところで利益を出す、という構造に成っている事。

ⅱ) つまり「営業割数」において、例えば「7.6割営業」とか「8.2割営業」とかの割数にして、24%とか18%の粗利を戴く構造を、『割数営業』と名付けたわけです。

ⅲ) 賞品で利益を出す構造には成ってないわけですから、いきおい「出玉率」=「機械割」まで常態的に90%前後までに下げるということに必然的に成ってしまいます。これは“危険水域”ギリギリの営業という事に成りますネ。30,000発お客様が打ち込み(out)、その結果約30,000発の玉が戻る(safe)のが、遊技機としてのパチンコの原点の筈ですので。

※保通協を合格した時点の「ぱちんこ機」の出玉率は100~103%位に成っている筈です。出玉率90%などという事に成ると【最初からお客が負けることを前提にした遊技機】と成ってしまい、それは“ウラ物”でしょ! という風に見られてしまう恐れがあるからです。

※スロットとの対比で見ると分かり易いのですが、スロットの機械割は約96%~119%で設計されていますが、スロットには3段階ないし6段階の設定がありますから、常時96%の出玉率ということは、スロットの場合理論上も有り得ないわけです。

ⅳ) ぱちんこ機の出玉率を(今で言う「算定値」)以下に下げないと成り立たないのが「業界等価営業」だとすれば、それは即ち「釘を常態的に絞める」営業ということに直結してしまうからです。

ⅴ) よって「割を下げて」しか粗利確保ができない「業界等価」は ➡ ✖と断じたわけです。

(注)では「割を常態的に下げる」営業じゃなて、「割を常態的に上げる」営業は良いのでしょうか?

追記:【割を上げる営業について】
(※今日の本稿のタイトルにまだ入れませんが、前回述べられなかったので、どうしてもふれなくてはなりませんね)

ⅰ) 最近、機械の納品時に付いてくる「算定値」表の出玉率を、大きく超える状態を一定期間続ける営業は ➡ ✖です。具体的には「長時間試験」(10時間の実射試験)での出玉率200%を超えていると、その台は原則アウトですね。その場合、継続的に“著しく射幸心を高めている”と認定される恐れが高いからです。

ⅱ) しかし、ぱちんこ営業には必ず「賞品」が付いてきます。賞品が「店外で」どういったレートで買い取られるのかは、パチンコ店とは無関係の筈です。従って仮に出玉率105%の営業に成っているお店で、30,000発出したお客様が「大景品」24個と交換され、外の買取ショップで90,000円で換金されたとしても、射幸心を煽った営業とは成らない筈です。

ⅲ) 問題にされるとすれば、〈店の稼働している台の約半数くらいの人が、皆5箱以上玉を積んでいて、どう見てもオタクの今日の営業は出玉率で120%超でしょう!〉という様なケースでしょう。

※この場合、全機全台、釘を“目いっぱい開けて”営業してるでしょう? それって遊技台の未承認変更でしょ! ―― と言った疑いが濃厚になります。

※しかし例えば仮に、所謂“16割営業”のお店が有ったとして、「業界等価」のお店より2倍くらいのボリュームの出玉を見せていたとしても、表面賞品額の0.625割でショップが買い取る(=P店側からすると、賞品を安く仕入れている)から、殊更に射幸心を常時煽っている訳ではありませんし、うちはおかげで稼働も40,000発近いし、お客のネバリも多めなので出玉が多く見えるのでしょう、の抗弁が成り立ちます。赤字営業を常態としてる訳では全く無いので、射幸心を著しく煽っているわけではありません ―― これが帰結です。

業界における諸問題の根底にあるのは『賞品問題』

❷ さあ、ここらあたりで、やっと今日の本題です(笑)。さて本題に入る前に、「2通り」の言葉の用法を混同しないことが大切です。

ⅰ) 本稿で探求したいのは【ぱちんこ店が買取ショップないし、賞品問屋に支払う、何某かの手数料】の事です。

ⅱ) これと混同し易いのが【買取ショップが、お客が差し出した賞品を買取る際に、お客から頂く買取り手数料】です。この場合はお客が持ち込んだ賞品の表面的額面から、その手数料分が差し引かれてお客に渡されます。

※ このⅱ) の方式は某全国チェーン様が約2~3週間の間、一部店舗で実施され、結果すぐ撤回されたことがあります。また2年前に某県遊協下の一部大手チェーンが約6ケ月ほど実施されましたが、結局県下組合員の足並みが揃わず、中止せざるを得なくなった事があります。本稿で取り上げ問題にするのは、あくまで ⅰ) のケースで、世間では昔から“換金手数料”を“業者”に払うと言われる場合です。

❸ そもそも何が問題なのでしょう?? 前回のテーマとも関連しますが、やはり根底に有るのは『賞品問題』です。

ⅰ) ぱちんこ店オーナーの中には、昔から〈ホール経営者が「主」で、“買取り小屋”さんは「従」である〉という考え方が根強く横たわっています。つまり〈小屋は必要悪〉みたいな発想です。根底には〈パチンコはミニ・ギャンブルであるとオーナーさんが思ってらっしゃる方が多い〉という現実です。

ⅱ) されど現実には「小屋」が無いと、P店営業は成り立たないことは認めざるを得ないので、

ⅲ) そうした「賞品の買取り」に関する費用は少ない事に越したことはない! という発想に繋がる訳です。逆に言えば「買取り小屋」さんに来てもらいづらいエリアでは、少々“買取り手数料”は高くなっても仕方がない、という現実的本音もじゅうぶん見え隠れします。

※ 永らく、本稿のテーマは〈ふれること自体アンタッチャブルの問題〉としてタブー視されてきました(また自分もジャーナリストや評論家ではないので、この問題を殊更にフレームアップして大騒ぎするつもりは更々ありません事を、事前に断っておきます)

景品交換所の諸経費はどこで負担されるべきなのか…

❹ 「ぱちんこ3店方式」などと言うものは、実は大変手間のかかる、或る意味“面倒臭い”方式であることは、認めざるを得ない面もあります。しかし、カジノと違って、パチンコは「賞品自家買い」とか「2店方式」(カジノと賞品問屋のみの2者)ということは、有り得ません!

でも例えばの話しですが、永らく「業界等価」の永かった東京の賞品事情を見ても、かつては、1,375玉の賞品玉が5,500円のゴールド賞品と店のカウンターで「交換」され、TUCショップで5,500円で買い取ってくれる。はて、TUCショップは一体どこで「小屋」の人件費やら「家賃」を稼いでいるのやら? と素朴な疑問にいつも囚われていました。

それらの経費を自力で賄おうとすれば、5,500円でお客から買取ったゴールド賞品を、“のし”を付けてせめて5,550円位にして「賞品問屋」に買い取ってもらうしかない。すると5,550円でTUCショップから買取った金賞品を集荷、清掃、梱包し直して、再びホールに販売する際には、5,600円位に成ってしまうのではないか? ―― そうすると次からホールは1375玉でこの賞品をお客に提供できなくなってしまう?? もうこうなると、『メヴイウスの環』の世界です(笑)。頭が混乱してきます。

ということは、「小屋」の維持にかかる諸経費は、賞品問屋さんの販促リベートという様な形で、問屋さんからバックしてもらうしかないのかな?! というところに行きつかざるを得ません。ハッキリしていることは、過去のやり方だと「小屋」の維持経費分を直接「お客」に負担させることは無い、という仕組みです。

❺ しかし、ここは「受益者負担の原則」じゃありませんが、「小屋」の維持費はやはり「お客様負担」でいくべきではないでしょうか? と…。

しかし、悲しいかな我が業界は“そんなもの、とてもお客さんに負担させるわけにはいかない”とばかりに、結局、店ホールがその経費分を負担してきているのではないか?

だから〘“交換”手数料は、安ければ安いにこした事はない〙と、昔から言われるわけなんでしょうね。所謂“必要悪”の発想です。

業界人がなにげなく使ってきた『業界用語』にもメスを入れなければ…

❻ もうそろそろ、こうした旧来の〈ホールオーナー=主、買取りショップ=従〉的な発想をキッパリ捨て去って、価値のある魅力ある賞品を開発してもらい、賞品差益でしっかり店の粗利を確保していくという発想に、根本から立ち返るべきかと思います。ホール賞品は、間違っても決して、“換金”のための便宜的ツールであってはならないのですから。

〘追記〙
間もなく、「検定機と性能が異なる可能性のある遊技機」の最終リストが、日工組より発表されようとしています。たぶん圧倒的多くの業界関係者は、リストにどの機械が掲載されるのか? に関心が集中することと存じます。無理も有りません、新台を買いづらい中小零細ホールにとっては、或る意味、“死活問題”となる可能性も大だからです。

しかし、(直接的には)昨年1月の行政講話から始まる今回のパチンコ機に対する一連の強い規制は、一体なんで起きたのだろうか? を忘れてしまっては、この1年半、バタバタうろたえるだけで、何一つ勉強しなかった事に成ります。当局の仰る、「本来の10割等価営業」とは、4円の玉を4円の賞品と店内で交換しつつ、賞品の仕入れ原価の恩恵でしっかりと約20%位の粗利を確保できる営業の事です。

この「本来の等価営業」を、『業界等価営業』に、いつの間にか業界人がすり替えてしまって、“換金”等価のことと思い込む風潮が全国的に蔓延してしまった事、ぱちんこメーカーもそれに“迎合して”『業界等価』向けの機械をメインに発売し、また多くのホールが、そうした機械を買って使って来たという現実に対する、当局の鉄槌とも言えるものではないでしょうか。

私たちが何気なく使って来た『業界用語』にもメスを入れなくてはなりません。

カテゴリー: パチンコ,業界動向

2s Comments

  1. いつも拝見しており、非常に勉強になります。

    こちらは北海道札幌なのですが、悲しいかな札幌で11.2割営業を確りやっているホール企業が少ない事を大変憂いております。

    Sの下げ、BA82から酷いところは75、T1Yの削り等。
    お客様の顧客離反も激しいものです。

    健全なホール企業、ホール運営を願う日々です。

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    • 北の養分様、いつも読んでいただきまして、有難うございます。
      今後とも、よろしくお願い申し上げます。

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