賞品流通の「4店方式」を考える

業界のご意見番・小森勇の一喝 第52回

賞品流通の「4店方式」を考える

「4店方式」などと耳慣れない、と感じられる方が大多数だと思われます。現実は“理想”とされる「3店方式」すら完全に出来ている都道府県は“わずか”としか言えない現状ではないでしょうか。実は結論的に言いますと、「3店方式」は賞品流通の完成系でもなんでもありません! 昭和36年(1961年)に大阪府警の実質的主導のもとに考案され、一気に実施されたのが歴史的経緯です。余りにも“素早く”実施に漕ぎ着けられたので他県の追随が殆ど無く、それゆえ“大阪方式”が理想的な事は内心では分かっていても、とても個々の賞品問屋やホール組合の発案ではこの“大阪方式”そっくりなものを構築することは到底不可能と思われてきました。ただ「身障者、寡婦」を前面に打ち出した「福祉“小屋”」=賞品買取り所という考え方自体は、兵庫県、京都府など複数の府県で採用されています。

賞品流通システムを“明瞭”に構築しようとする構想が…!?

❶ さて、今回なぜ「4店方式」なるものを書くのか、という事から説明する必要がありますね。けっしてコンサルタントの机上の空論で紙面を埋めようなどという“ヒマな”話ではない事だけはご承知ください。非常に情報精度の高い筋から、全国レベルで、ぱちんこ屋と不即不離な関係にある賞品流通システムについて、密かに抜本的な試みが準備されつつある! という情報を入手したからです。その抜本的試みとは〈①Aぱちんこ店→(お客)→②賞品買取所→③大規模な賞品回収・互換所→④賞品問屋(→Bぱちんこ店)〉という本格的な賞品の流通システムを明瞭に構築しようという構想です。実に大阪方式開始より55年間も“統制”されることの無かった“換金問題”に、遂に“着手”するという情報です。

誤解のないように申しますが、平成2年頃からは東京都遊技業組合傘下のホールに関連する賞品の買取り所に関しても、「T.U.C.」(東京ユニオンサーキュレーション㈱)という賞品買取所のシステムが稼働し出し、平成7年には都内全域でこのTUCが金加工賞品を買取るという仕組みが出来上がっております。一般市場でも価値が遜色なく認められる「金」を賞品とする点においては「大阪方式」よりは一歩も二歩も進んでいるという見方もできます。ただこの「東京方式」は、ホールに賞品を納入する業者の組合である「東京商業流通組合」「東京商業流通協同組合」がTUCの“小屋”の経営もするというカタチですので、厳密な3店方式というよりは「2.5店方式」という見方もできる可能性が有ります。

また愛知県下の賞品買取所の(全部ではなく)何割かでは〈買い取りを求めるお客さんから3%の買取り手数料を戴く〉という画期的な「3店方式」が7年近く前から施行されています。ただ残念なことに中京地区の殆どの大手企業の経営するホールの横の“小屋”はこの手数料方式を採用していないことから、遊技場マーケットでの主流の方式とは言えないのが残念なところです。

現状における賞品流通システムの問題点

❷ このように風営法で禁じられているホールによる賞品の買取り行為について、比較的明瞭に第三者から見ても“ホールからの完全分離”ができていると思われる、東京、大阪、愛知の例を簡単におさらいしてみましたが、この3つの都府県の方式とて、実は問題点をいろいろ抱えているというのが本稿の出発点です。また国会でIR法が閉会直前に急転直下、可決成立してしまったので、「依存症問題」だけでなく、今後〈パチンコの実質的な“換金”はどうなっているんだ!?〉という声も一部では当然の如く巻き起こって来るであろうことも、本稿執筆の偽らざる動機であります。

本当にお客が獲得した賞品の、店外での買い取りについて、キチンと論理的に明快な説明ができるのかが今後の「最重要課題」となってくると思います。なぜならパチンコ業界の場合、賞品は❶で図式化したように〈①Aぱちんこ店→(お客)→②賞品買取所→④賞品問屋→(Bパチンコ店)〉という様に“還流”しているからです。これが鉄道チケットや百貨店の商品券などのチケットショップの場合ですと、SHOPが持ち込んだお客から買取ったチケットや商品券を、もう一度鉄道会社や百貨店に買い取ってもらうという行為は発生しないので、実は“還流”の問題は起きないのです。そこで次のような点が問題とされて参ります。

ⅰ)ぱちんこ店に納入する賞品は、鉄道チケットや百貨店商品券のようにお客が使った瞬間、裁断されて二度と再利用されることはないけれど、“券(チケット)”の上に「経済価値」が100%表示されているし、社会の誰もその化体された価値に意義を申し立てるヒトはいない! しかるに裁断されずに還流し続ける我がパチンコ業界の賞品には、本当に「経済価値」が認められるのか? 世間一般の人から見て「経済在値」アリと認めてもらえるのか?

ⅱ)買取り形態の類似する街のチケットショップで1,000円の商品券を買取ってもらう場合に、額面の1,000円で買取ってもらえるSHOPなど、世間には一つも存在しない。これは至極当たり前の事である。しかるにどうしてパチンコ業界に於いては2,000円相当の賞品をそのまま2,000円で買取ってくれる買取所がいまだ日本の過半数もある。これはいったいどうしたことか?! 手数料の発生しない賞品の流通は、単に『換金ツール』としての意味しかない! と突っ込まれたら、いったい何と答えればいいのやら。

ⅲ)④の賞品問屋は、②の賞品買取所から更に買取った賞品を、何の検品も清掃もせずに再び「ぱちんこ店B」に卸しているのか? もしそうであるとすれば、そのような流通は世間一般からは怪訝な目で見られるのではないか?

完全に経営分離された「4店方式」の素案

❸ ここに「3店方式」ではなくて、正確には「4店方式」が論理的に詰めていかざるを得ない論拠があります。つまり『大規模な賞品回収・選荷所(賞品互換所)』の存在です。実は昔に遡って調べてみると、かつて2000年に入るまでは、岡山県でこの「4店方式」と呼ばれるものが運用されていたという記憶が有ります。当時「岡協」という賞品問屋の連合体は独自に考案された「ハンカチ」を賞品としてホールに納入していました。賞品買取所でお客から買取ったハンカチは、賞品選荷所に集められ、クリーニングなりされて再度製品化されて、ホールB、C、D、E…に納品されていたと記憶しています。これだと、世間の目から見ても単純に一度できた賞品がただ“グルグル”回っているだけではないという事が立証されます。クリーニングの問題だけではありません。その他の各県ごとの賞品と云えど、大概プラスチックのケースに入っているものが比較的多いわけですから、そのケースが破損したまま流通している事もまゝ見受けます。ケースに傷が入っていたり破損している賞品が公然と流通するというのも変な話です。

さてこうなると、賞品の流通に際して何らの手数料も無い「賞品の還流」など絶対に有り得ない! という事がお分かりいただけますね。ここで以前の「一喝」でも書きました事を思い出して頂きましょう。

①Aパチンコ店で遊技客が2,500発の玉と5,000円の賞品2個とを等価交換します

店の外の②「賞品買取所」で9,700円で買取る

③賞品問屋が9,750円で「買取所」から買取り、④「賞品互換所」に持ち込んで選荷、清掃して箱詰めし直して「賞品問屋」に納める

③賞品問屋はこの箱詰めされた製品をBパチンコ店に9,900円で納入する

この図式にて、かろうじて完全に経営分離された「4店方式」というものの素案が出来上がるはずです。

※結局、岡山県も嘗てはこのような形態で賞品が流通していたのに、2000年を過ぎたあたりから「業界等価」という“ゆゆしき”買取り慣習が常態化してしまったために、「ハンカチ方式」が成り立たなくなってしまったという“悲しい”歴史だったのではないかと推測されます。

我が業界に残された“最後の天王山”ともいえる「賞品流通問題」

❹ ぱちんこ機において「検定機と異なる可能性のある遊技機」の回収・撤去がほぼ完全に目処が立って、ほっと一息つきたい今日この頃ですが、この「賞品流通問題」がいわば我が業界に残された“最後の天王山”として、私たちに解決を迫ってきていることをしっかりと認識する必要があるでしょう。庶民の小遣い銭で遊べる遊技から始まって、ここまで巨大な売上を上げる業界に成長してきた事は事実ですが、成長の反面“勝った”お客は15~20万円もの賞品を獲得できるまでに成ってきたことをも同時に認めざるを得ない筈です(新台を導入した初日から一週間ぐらいは台売り7万円も上がって喜ぶことの、ちょうど反面の事実現象です)。

いま私の得ている情報では、既に我が国の特定の地域が措定されて、この「4店方式」の施行の準備が密かになされているという事らしいです。ことは「買取所」、「賞品問屋」が絡むことだけに、監督官庁である警察庁の専権で指示命令するわけにもいかず、公益社団法人のようなカタチをとりつつ“半官半民主体”で、この方式が有無を言わせず施行されていく可能性があると推測します。

ぱちんこ業界を真に愛する気持ちに溢れているのであれば、この「賞品問題」は業界を愛する者たちが背負っていかなければ成らない「十字架」であると心得ます。十字架の重しから何とか“逃れよう”との思惑はもう通用しなくなったというべきでしょう。

「大阪方式」、「東京方式」、「愛知(一部)方式」のそれぞれの優れた仕組みを発展・成長させることで、充分に達成可能な「4店方式」です。ただ「釘問題」と異なり、賞品問屋さん、買い取り業者さんという、これまでアンタッチャブルだった領域への働きかけが不可避とされるだけです。これとて決して達成不可能な課題ではありません。業界人全体の叡智を結集し、「業界愛」をもって、もう先延ばしすることなく前進あるのみです。

カテゴリー: パチンコ,業界動向

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