第141回 【相模の国=川崎溝の口 篇 企業の分岐点となった歴史垣間見えるエリア】

小森黄門ちゃまの業界漫遊記 第141回

【相模の国=川崎溝の口 篇 企業の分岐点となった歴史垣間見えるエリア】

 

 

あちこち旅しておるワシでも、まだ漫遊記をモノしておらぬ所というものはけっこう有ってのぅ。
今日通りすがった「溝の口」もその一つじゃ。
溝の口と云えば今を去ること18年前に「P-ARK」殿が当時の長崎屋(現ドン・キホーテ)の駐車場の1Fを借りて出店された時に最初に見に来た事がある。
たしか1997年くらいの事で、ちょうど現金機がCR機に切り替わる頃じゃった。
P-ARKの庄司会長はその当時から小売業とのコラボレーションがお出来になる方として一躍話題と成ったもんじゃ。
さすが日遊協の会長を務められただけの器のかたじゃ。

ちょうど平成の世となって、東急田園都市線の二子玉川がお洒落な住宅地として見直され、二子玉の高島屋で買物するマダムが上流階級というような評価の時代じゃった。
この溝の口は、二子玉から直ぐという事もあって、横浜のセンター北、センター南よりも(渋谷に直結という事もあって)一躍人気のスポットに成って来た頃じゃ。
このあたり、庄司殿の眼のつけどころはやはり“速攻”じゃのぅ。

ところがその庄司殿よりも7~8年早く、平成元(1989)年この溝の口に橋頭堡を築かれておったのが、日拓エスパースの西村殿じゃ。
東急田園都市線の“裏側”に土地を確保されて「エスパース溝の口本館」(860台)を出店してこられた。
西村殿(※もちろん親爺サマ!)と云えば〈扇の要理論〉の発案者であられ、扇の先端とか半ばのような場所には決して出店為されないので有名なお方である。
かつ川崎の高津区と云えば、高級住宅地も多い所として知られているが故の、日拓殿の出店であったろうと思われる。結果は“大成功”で、本拠地だった高田馬場を上回る大繁盛店として、つとに有名になったものである。
さて、そのような経緯の溝の口であるが、今どうなっておるのじゃろう。

 

❶ 折りしも今年盆前に、古くから東急田園都市線駅近くの線路下で営業しておった「こがね会館」がアンダーツリー=キコーナの木下殿にM&Aされ、キコーナ殿初の川崎市出店とあい成った。
設置台数は337台と小ぶりな店ながら、エスパース本館の道路隔てた真向いという立地じゃ。
台数では到底エスパース殿に敵わないものの、日拓VSアンダーツリーという東西の両大関の寄合いということで、否応なく話題に成ったばかりじゃ。

ついでに申さば、日拓殿は丁度CR海物語3Rが世に出た1999年には、本館の横に「エスパース溝の口駅前新館」(854台)を造られ、両館で併せて1700台超の集積と為された。
この1700台超のすぐ近くで、337台の小ぶりのキコーナがどう振る舞われるのか、興味の湧くところじゃな。
見たところキコーナ殿は、無理して特に奇抜な事をする訳でもなく、淡々とした“標準的な”営業手法である。
日拓殿を刺激するような事も一切為さらず、ま、これで良いのではなかろうかのぅ。
逆に日拓殿の新館のほうは、当初から兄貴分の「本館」の後塵を拝するカタチで、イマ一つ飛び抜けてはおらぬから、日拓殿は日拓殿で課題は残る。

 

━同心円状にP店が展開する稀有なエリア━

 

❷ ここで溝の口駅を中心とした遊技場MAPを作ってみると、実にオモシロい事が分かったのでご披露致そう。
それはひと言で云えば東急駅とJR駅を中心にして《同心円状》にパチンコ店が楕円を描いておるという事じゃ!こんな事例は全国でも滅多に無いぞ(笑)。

時計回りに店を並べていくと、
ⅰ「エスパース新館」(854台)
ⅱ「エスパース本館」(860台)
ⅲ「キコーナ」(337台)
ⅳ「スロットACT」(284台)
ⅴ「楽園」(775台)
ⅵ「ニューパレス」(P346台)&「M&M」(S219台)
ⅶ「NOAH」(668台)
ⅷ「MAXパチンコ」(391台)
という風に、綺麗に楕円形の線上に8店舗が並ぶのじゃ。(※あたかも水金地火木土天海と八つの惑星が並んどる様じゃ。)

この楕円線上から外れるお店は、(何故か)みな閉店しておる。
「エース」「ニューこがね」「BIG TOP」「RISING SUN」がそうじゃ。
特にBIG TOPとRISING SUNはJR溝ノ口駅にもろ近いのに閉店しておる。
閉店を免れておる唯一の例は、パチスロ「ミラージュ」(144台)のみである。
今ほどの“ジンクス”に従えばこのミラージュも閉店しとる筈じゃが、実はミラージュの経営母体は、上記のⅵの会社なため、そのチカラによって閉店を免れておるというのが実際ではなかろうか。

 

❸ 上記のⅴⅵⅶⅷの4店舗は、ドン・キホーテとイトーヨーカドーに挟まれる立地環境が有るため、なにかと人通りに恵まれておると言えば、そうとも言える。
他方ⅰⅱⅲⅳの4店舗は、東急溝の口駅からは、ズバリ《パチンコ目的》のお客を上客とするタイプのお店である。
かように、同じ「溝の口商圏」とは云いながらも、よく見ると来店動機はけっこう異なるというべきやも知れぬのぅ。

それにしても感心するのは「楽園溝の口」と「MAXパチンコ」の2店である。
楽園で思い出深いのは千葉県柏駅前にあった長崎屋(現ドン・キホーテ)の地下1Fに出店されて大当りされたことじゃ。

11年前の2006年のことじゃった。
この成功に気を良くされたか、2009年にはこの溝の口のドンキ地下へのテナント出店、2010年には埼玉南越谷駅近くの旧ダイエー系OPAを建物ごと買収、極めつけは2014年に大宮駅前のLoft撤退後への、日本最大級の出店と、破竹の進撃の渦中にあったのがこの楽園溝の口店という訳じゃな。
あれからはや8年、エスパース殿に負けない高稼働店として今も健在じゃな。

かたや「MAXパチンコ」殿は、早い話しがP-ARK殿の別ブランドで、埼玉の川口商店街にこの名前で出店されたのが思い出深いのぅ。
何故かは分からんが、当時P-ARK色を一切出さず、系列店であることすら表示しなかったという思い出がある。
従ってピーアーク殿は溝ノ口に来てはや20年になられたという事じゃな。
東急田園都市線の北側のエスパース殿とは上手に棲み分けて居るということであろう。
それにしても、溝の口駅周辺で立派な駐車場を構えているのは、この「MAXパチンコ」のみじゃから、これからもっと伸びる要素は充分あるのぅ。

 

❹ さてと、一通り溝の口の周辺を廻ったわぃ。
近年高齢化の進行とともに東京都心への回帰現象が顕著と聞く。
嘗てバブル期にあれ程人気のあった世田谷ですら、最近は若い世帯の人気は陰りがみられるという。
世田谷でも私鉄沿線の駅に近い所は今でも人気であろうが、駅からバス乗継と成ると不便に感じる時代なのかも知れぬのぅ。
同様に、“金妻ブーム”の時あれ程人気が在った多摩ニュータウンも、最近は“オールドタウン”で高齢化による空き家が相当あると聞く。

こうした時代の急変化ちゅうもんにしっかり付いてゆかんと商売の方向性を見誤ってしまう。
その点、この「溝の口」周辺は、案外人気度がそうは落ちぬのかもしれんのぅ。
なんせ都内中心が拠点の日拓さんは、もうここで28年も繁盛を続けておられるからのぅ。
そして今ここに新たな大手としてキコーナ殿が参入されてきたと云う事である。
10年後にもう一度溝ノ口を覗いたならば、相変わらず遊技場は栄えて居る事を祈念するばかりじゃ。

 

▼盆前オープンした[キコーナ溝の口]

▼28年の伝統を誇る[エスパース溝の口駅前本館]

 

▼ドン・キホーテ地下の[楽園溝の口]

▼楽園向かいの[ニューパレス・M&M]

▼ピーアークの[MAXパチンコ]

カテゴリー: パチンコ,マーケティング,注目ホール,注目市場

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