組織力を活かした応用展開について

現場力を強化するために…! 第12回

組織力を活かした応用展開について

組織としての「仕組み」に落とし込むための「スペシャリスト候補者」の選出

「現場力」強化の仕組み作りのまとめとなる今回は、店舗単体の強化だけでなく、組織力を生かした応用展開についてお話させていただきます。スタッフさま個々人が持っている、すばらしい能力を、全店に波及させるための、「スペシャリスト」養成に焦点を当ててみましょう。

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前回は、同一グループ店の中で最も業務品質の高い店舗のノウハウを、グループ店全体に展開するための手法をご説明しました。この手法を継続的に運用し、さらに、業務品質の向上や改善を重ねるためには、組織としての「仕組み」にまで落とし込まなければなりません。

ただ、質の高いノウハウは、スタッフ個々人の経験値とともに存在していることが多く、この貴重なノウハウを全店で共有するためには、これらを具体的に抽出するだけでなく、このノウハウの実践者の選出が不可欠となります。すなわち、「スペシャリスト候補者」の選出です。

具体的に説明していきましょう。まず、選出されたスタッフのノウハウを業務コンテンツ別に整理します。コンテンツの例としては、「遊技機運用」「接遇教育」「設備メンテナンス」「清掃美観」「販促演出」「カウンター」など。スペシャリスト候補者の持つノウハウが、いずれのコンテンツに当たるのかを見極めて、他の業務との連動や効率を考慮したうえで、全店へ展開するための簡単な資料(帳票)を作成します。

この資料をもとに、グループ各店の役職者など(担当者)を集めて説明会を実施します。次に、そのノウハウのスペシャリスト候補者が勤務する店舗で、担当者に運用実態を体験してもらいます。その後は、各店舗の担当者ごとの定例ミーティングを開き、各店の運用実態や改善状況等の報告を重ねていきます。

このような中で、他のグループ店と歩調が合わない店が出てきます。その店舗に対しては、スペシャリスト候補者が対象店に出向いて指導しますが、このとき問題となるのが同じグループ店であっても、規模や設備環境などが異なることです。

こうした場合、いくら高品質なノウハウだったとしても、強引に落とし込むことは危険。まずは、対象となる店舗の業務運用実態を確認し、運用面での諸問題を洗い出し、課題をスペシャリスト候補者と担当者、店長の三者で確認。実践面での定着において協力し、グループ全店の底上げを図って行きます。

「スペシャリスト候補者」を実績をもって「スペシャリスト」へ…

さて、こうして品質の底上げがなされた時点で、優れたスペシャリスト候補者を、店舗配属から本部配属へ移動させます。スペシャリスト候補者は、自身の持つノウハウ(コンテンツ)の品質維持と向上(改善、刷新)を課題に、全店舗を直接指導します。このときに大切なのが、指導はチェックや指示だけで終わるのではなく、必ず各店舗の担当者とシフト連動し、実践指導すること。

さらに、スペシャリスト候補者は、各店にシフトインする前に、ミッションを明確にしておく必要があります。コンテンツの品質が著しく劣っている店舗は、業務環境整備からはじめる必要がありますし、品質の安定性に問題がある店舗であれば、ルールや仕組みを現場に即した内容に変更する必要があります。

また、それなりの品質を維持できている店であれば、さらなる向上や業務効率化、担当者のスキルアップなど、事前に店単位の課題を整理し、きちんとスケジューリングした上で各店舗に出向くのです。

この事前調査でも、スペシャリスト候補者自らが店の担当者とともにシフトインすることが望まれます。このようにして、自らが担当する業務コンテンツの品質を、全店に普及させることができた候補者は、その実績をもって「スペシャリスト」と位置づけられます。

「スペシャリストチーム」が組織力全体を底上げする

では次に、スペシャリストの役目を説明しましょう。スペシャリストには、グループ各店のコンテンツ担当者を育成するための、定期的な勉強会や目標管理、専門知識や技能の指導・教育責任が課せられます。さらに、グループ各店のコンテンツ業務の品質を、客観的に把握する必要があります。

なお、各店の品質監査は、スペシャリスト個人だけで行うのではなく、適正かつ客観的に把握するために、グループ各店の同コンテンツ担当者間による全店の実態調査を行い、各店の品質と実践状況を全員で確認し、全社で共有しましょう。一見手間がかかるように思われますが、この過程を踏むことで、業務品質基準が明確になり、対象店にとっても至らない部分が把握でき、スペシャリストが実践支援に入ったときに、業務遂行がスムーズに進むのです。

また、スペシャリストは通常それぞれのミッションを担って、グループ各店で活動しますが、新規出店やグループ店の著しい業績不振時、あるいは、競合店の進出や競合店のリニューアルといった際には、各コンテンツのスペシャリストがチームを組んで、対象店を強力に支援します。つまり、タスクフォースチーム(=緊急支援部隊)ですね。

企業には独自の文化や環境があり、ノウハウも企業によってさまざまです。ですが、このスペシャリストチームは、自社を知り尽くした人材で結成されたもの。大いに力を発揮してくれるでしょう。

スペシャリスト育成とは、単に専門特化したスタッフを育てることではありません。組織としてのホール業務の整備と品質確認、ノウハウの標準化を通した社内活性化、スタッフ個々の特性に合ったキャリアパスの幅を広げることを含めた、組織力全体を底上げするものなのです。

さて、「現場力を強化するために…!」というタイトルで12回にわたり連載させていただきました。現場力強化の真髄は、仕組みを積み上げるプロセスにあります。どこかのホール企業でうまくいった借り物の仕組みを自社に当てはめても、さほど効果はあがりません。強引に当てはめようとすれば、現場から無言の抵抗が起こるだけです。

皆さまにご案内させていただきました内容は、それぞれのホール企業さまが、自らの手で構築することで、真に効果を発揮する組織力向上の「仕組み」なのです。

 

カテゴリー: その他,パチンコ,マーケティング,人事,店舗演出・周辺設備

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