「当たり前」のことを「当たり前」にできていないホールが意外に多い

ミステリーリサーチのすすめ 第2回

「当たり前」のことを「当たり前」にできていないホールが意外に多い

機種構成、演出は変わらないのに何故、集客に差が…。

以前、あるホール経営企業のA社長と私で競合店視察に行った時のことです。その競合店は、地域一番の集客店舗でした。店内を見回したA社長が不思議そうな表情で尋ねます。

「うちの店と機種構成もほとんど変わらない。演出や案内もうちと変わりない。設備面もたいして違いはない。むしろ、出玉感はうちの方が上ではないか。それなのに、なぜこれほど集客に差が付いているのだろう?」

確かにその通りです。一見しただけではA社長のホールと大きな違いは見当たりません。そこでA社長に「もう少し店舗をじっくり見てみましょう。お客さまは平均約1〜2時間はいらっしゃいます」と提案し、さらに観察を続けることにしました。

A社長が1時間ほど遊技をしながら店内外を見たところで、私はあらためて感想をお聞きしました。

A社長は「うちの店と大きな違いは感じないけれど、競合店の方が若干ながら清掃面が上かなぁ」。わずかですが違いを見つけたようです。

「入口、通路、遊技機周り、トイレなどの清掃面は、こちらの店のほうが若干ながら行き届いているように感じるかな」

ほかはどうでしょうか。

「告知演出物は使い古された物もほとんど見かけなかったなぁ」

「スタッフの動きは、忙しいこともあって少し活気があるように感じるかな」

聞いてみるとポツリポツリと出てきます。ここでA社長に核心の質問をぶつけてみました。

「A社長がお客さまならどちらのお店で遊技をされますか?」

「うぅ〜ん…!?」

A社長は目の前の答えに戸惑ったのか、思わず反問しました。

「しかし、この程度の差が、集客に影響するのか? パチンコは出玉と設備ではないのか?」

小さなことの積み重ねが大きな差を生みだす

確かに、パチンコ店にとって設備・機械は重要です。A社長が感じた競合店との違いの一つひとつはささいなことかもしれません。ですが、その一つひとつがお店の印象を決定し、お客さまの来店動機に大きく影響を与えているのです。A社長の店よりも競合店にお客さまが集まるのも、そうした小さなことの積み重ねが大きな差を生み出したと考えられます。

前回でも述べましたが、弊社が行った200店舗を越えるミステリーリサーチなどで、集客力の強い店には共通点が見つかっています。それは店内演出や遊技環境、清掃状況、接客などの全調査項目(55項目)にわたって標準値をすべてクリアし、多くの項目が地域内で高レベルにあるということです。そういう店が一つの例外もなく地域一番店でした。ファンが特定の店を選ぶのには理由があるのです。

標準値とは「当たり前」のことを「当たり前」にすれば、クリアできる値のことです。しかし、「当たり前」のことを「当たり前」にできていないホールが意外に多いのです。そこで、まずは自店と競合店の違いを客観的に洗い出し、自店が勝っているのはどの部分なのか、劣っているのはどの部分なのかを知ることから始めてみましょう。それが「現場力」強化のスタートともなります。現場力強化の取り組みの手順を述べてみます。

①社内競合店調査責任者の決定…責任者は営業部長かエリア長が妥当でしょう。次に、チェック表作成や集計と分析を行う部署もしくは担当者(事務局)を選定します。

②調査店舗、調査スタッフの決定…対象店と競合調査店(2〜3店舗)を選定します。次に、調査スタッフには客観的な調査を行ってもらうために対象店のスタッフは加えず、社内の他店舗スタッフ(6〜8人=店長、副店長クラスが妥当)が調査を行います。

③調査チェック表を作成…次に調査チェック表ですが、特殊なチェック表を基に調査を行う必要はありません。お客さま目線でのチェック項目を洗い出し、それらの項目を整理し一覧表にすれば十分です。

④客観的事実に基づいて調査する…自社内の他店舗スタッフに調査を実施してもらうことで、対象店スタッフでは気付かない対象店の長短所が新たに発見されたりします。注意点としては、他店舗スタッフといえども社内であるため、対象店に対する思い込みや人間関係が調査に影響することがあり、比較的甘い評価になるのが一般的です。場合によっては提出された評価よりも辛めに調整する必要があるかもしれません。

⑤調査結果を分析し、対策ミーティングを開く…調査結果は担当部署が集計し、分析資料を作成します。作成された資料を基に、対象店舗の責任者数人(社員全員参加がベスト)、調査スタッフ全員参加、集計部署スタッフ、部門長(エリア長、部長)で調査ミーティングを実施します(ミーティングの着地点は対策の決定ですから、結論に至ることが必須です)。

⑥対策案を決定する…対策案がまとまったら部門長と対象店店長が経営者に決裁を取りに行きます(本来であれば、対策ミーティングに経営者の参加が望ましいのですが、経営者の方が参加すると議論が進まないことがままあるためです)。

商圏視点と、お客さま視点で、対象店を客観的に分析し、長短所を整理することが必須です。通常は短所克服に向かいますが、最終的には全項目で競合店よりも頭一つリードすることを目指します。競争相手はあくまでも同商圏内の競合店なのです。この手法を試みることで店長に任せきりであった店舗対策の幅が広がり、またグループ店へも展開すれば全店への啓発活動へもつながります。

自店を客観的に把握するところから始める

こんな事例もありました。ある県の県道沿いに立地するホールです。遊技機台数は400台。平均稼働率はパチンコで約2割5分でした。

そのお店で簡易調査を実施していると、あるお客さまが景品交換所の場所をスタッフに聞いている光景に遭遇しました。立地環境としてはいちげん客が来店しにくそうな場所で、当日はイベントも実施していません。ところが、しばらくするとスタッフにトイレの場所を聞いているお客さまの姿も見かけたのです。

そのことを同社の社長に話すと、社長はすぐさまカウンタースタッフに景品交換所の場所を聞くお客さまが1日に何人ぐらいいるのかと尋ねました。カウンタースタッフの答えは3〜5人ということでした。次にホールスタッフにトイレの場所を聞く方は1日に何人いるのかと聞くと、同様に3〜5人程度と答えます。同じお客さまが両者に聞いているのかもしれませんが、少なくとも3〜5人の3〜5倍は新規のお客さまが来られていると考えることは可能です。

社長は自店にいちげん客が少なくとも1日10人は来ているとは思っていなかったようです。同店はその後、いちげん客専門のスタッフを配置し、対応を強化した結果、徐々に稼働が向上。さらにいちげん客専門スタッフに感化された他のスタッフも接客技能の向上を図るようになり、そうした効果もあって店舗の全体稼働率は3割強にまで上がりました。

このように商圏の実情と現場の実態を知ることはとても重要です。そのためにはなんらかのアクションを起こさないと始まりません。まず一度、皆さまのお店で気になることをスタッフにヒアリングしてはいかがでしょうか。現場力強化のさまざまなヒントが眠っているかもしれません。ヒントを見逃さないためには自店を客観的に把握するところから始めねばならないのです。

カテゴリー: その他,パチンコ,マーケティング

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